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第22話 弟

扉から現れたのはあまりに意外な人物だった。
それはハンゾウ、ウコン、ゲンナイの3人。
「どういう事だ?」
この以外な展開にまっさきに口を開いたのはもちろんバロックだった。
ロココはハンゾウの姿を久しぶりに見たことで、ほんの少し気をゆるませる。
ハンゾウ達に続いて、三長老が姿を現す。
バロックは脇目もふらず三長老のもとへ歩み寄る。
「お前達が俺の弟や、沢山の人々を………!」
バロックが三長老に襲いかからんとする!
フロアの中のエボリューターが今残らず動き始めたそのとき……
三長老の1人が口を開いた。
「すまなかった、バロック」
その声は低く、それほど大きな声ではなかったが、全員の耳に届いていた。
そして、今まさにそこで繰り広げられるはずだった血みどろの大乱戦にストップをかける。
「…………そ、それですまそうというのか!?」
バロックは当然それで気が収まるはずはない。
「バロック、お前達が例の病院の火災に不振を抱き、
 ここに辿り着いたのは、さっきまでのパイロンとのやり取りでわかった、
 そして、パイロンに指示し、あの火災を起こさせたのも、
 確かに我々だ」
「ふん、開き直ったか!」
「しかし、あの火災に被害者はいなかったのだ」
三長老のこのことばはあまりにも説得力がなかった。
「どういうことだ!?確かに80名にのぼる死傷者がいたはずだ!」
「すべては、我々が操作した情報なのじゃ、
 最初から一般市民を巻き込むつもりなどなかったのじゃ、
 炎を操れるパイロンがいれば、どんな火災でも
 それぐらいは可能なのじゃ」
「………!!!それを信じろというのか!!
 それが本当だとしても何のためにそんなことを!?」
三長老の話していることはロココ達にとっても理解しがたいことだった。
どうやら、自分達には知らされていない、真実がある。
それだけは確かなことだった。




「ロココ、お前達はモーラという生き物に会ったことはあるか?」
三長老が口にしたのはあまりに以外な名前だった。
「………ある」
「うむ、その時モーラはなんと言っておった?」
「………地上という世界、そして俺達は進化の過程にうまれた突然変異だということ…」
「………そうか………
 我々は…ロココ、お前の持つチカラ、潜在能力に並々ならぬ期待をしている、
 その理由については、これから話すが、
 モーラもどうやら同じように、お前に何かを感じ、
 そして、お前達が目指すべき道を示したんじゃろう。
 全てを話そうとしなかったのは、
 お前達自身のチカラでそこに辿り着かせ、さらなる成長を望んだからじゃろう。」
三長老は代わる代わる話しを続ける。
しかし、
「いいかげんにしろ!!それとさっきの話とどう関係があるんだ!!!」
しびれを切らしたバロックがどなりちらした。
「すまんの、バロック、少し長い話になるのじゃ、
 辛抱して聞いてほしい、
 10数年前、我々は産まれたばかりの赤子から、
 その者がエボリューターであるかどうか、
 どれほどの能力をひめているかどうかを知る術を手に入れた、
 それは、バロック達とロココ達が産まれた時期の間のことだろう」
「そうだ、俺やバロックが産まれた時にはそんな技術はなかった」
三長老の話に興味を持ち始めたロミオが口をはさんだ。
「うむ、そうじゃ、
 まずは、そうまでしてその存在を把握する必要があった
 お前達エボリューターという存在について話さねばなるまい。
 ロココ、モーラは一つお前達に嘘をついた、
 エボリューターは突然変異などではない、
 人によって遺伝子操作され作られた超能力者なのじゃ」
「……………」
ロココは黙って話を聞いている。
「恐らくはこれから話す地上という場所に直接関わる話だったからじゃろう、
 とにかくじゃ、ここが地上という世界のはるか地底に存在するのは事実じゃ、
 そして、何らかの理由で人間は地上に住むことができなくなり、
 この世界を作り、移り住むことになった、
 その際に、地底にこの世界を築くにあたり、
 当時まだ悪辣だった地底の環境下でも充分に活動できる
 強靭な肉体をもった人間が造り出された。
 それがお前達エボリューターの始まりじゃ。
 その後完成したシティに通常の人間が移り住み、
 エボリューター達の遺伝子は低い確立で、隔世しながら受け継がれ
 現在にいたるのじゃ」
少し考え込んでいたロココが口を開く。
「もしかしてモーラは…エボリューター?」
ロココの言葉に三長老は驚く。
「!…よくそこまでわかったな…
 その通りじゃ、モーラは体こそモグラではあるが、
 人間の知能を持ち合わせておる。
 つまり人間の体を用いずに最初に実験体として作られた、
 エボリューター第1号じゃ。
 そして、彼女はこのアルカディアシティが誕生してから今まで、
 全てを見続けてきた。
 ある日ワシらはモーラから、こんな話を聞いた。
 地上で何か不穏な動きがある…と。
 ワシらはこのシティができたときに、全てを統治するものとして
 アンデッドという不死のスキルを持って生み出された、
 エボリューターじゃ。
 しかし、わしらは地上を知らない。
 モーラのように地中を自由に動き回るような能力はないからの。
 ながきに渡ってこのシティを統治し、
 身近にエボリューター達を置いたのには、ある一つの使命のためじゃった。
 それは、地上を再生させる強力なチカラを持ったエボリューターを
 見つけること…
 エボリューターを造り出した科学者達は、その能力が、
 遺伝し、さらなる能力を開花させていくことに目をつけたのじゃ。
 もちろん自分達も、その能力を持ったエボリューターを
 生み出すべく、研究は続いたのじゃが………」
三長老はここまで話すと言葉をつまらせた。
「その研究が思いもよらぬ事態を引き起こした…」
ついさっきまで怒りに震えていたバロックも、
ロンの死に我を失いつつあったロココも、
いつの間にかこの三長老の話の虜になっていた。
「我々の想像を絶するエボリューターを生み出してしまったのじゃ…
 もちろん、それの能力は我々が求めていたものではなく、
 そして、そのエボリューターはまた、邪悪な心を持って産まれてしまった」
バロック達は息をのんだ。
「そいつのスキルはなんだ?」
「………わからん、しかし、
 強力なチカラの持ち主であることは間違いない。
 恐らく地上に残った人間はそいつ1人に全滅させられた。
 この事件が起ったのは、ちょうどバロック達が産まれた頃じゃ」
「そのエボリューターの名は『ユニオン』という」
ここにきて初めてハンゾウが口を開いた。
「ハンゾウ達3人には、その地上を探るという、
 危険な任務を与えておったんじゃ」
「ユニオンによる支配は、地上とこのシティの関係を一転させた。
 ユニオンがいるのが地上である以上、このシティの命運はユニオンが握っている。
 ヤツがその気になれば、この世界はいつでも地の底に沈む。
 そして、ユニオンが求めたものもやはり、地上再生能力だった。
 ユニオンはその強大なチカラをもって地上の支配者になろうとしている。
 それをより効率的に探し出すために例の、
 産まれたばかりの赤子から能力をはかる技術が我々にもたらされた。
 そして………
 その運命の子ともいうべき、非常に強い能力を指し示す赤子は、
 そう待たずして誕生した」
バロックの頭の中のバラバラに散らばっていたパズルが今一つになった。
「あの火災はその事実を地上に隠すために起こした
 隠蔽工作だということか。
 ならば俺の弟は今どこにいる!?
 お前達の話が本当なら、姿を消した俺の弟こそ、
 その『運命の子』ということになるぞ!」
「バロックよ、そのとおりじゃ、
 もし、地上にその子を引渡せば、どうなるか、
 ワシらは、この都市は…用済みじゃ。
 ワシらはこの都市を守るため………
 その子供を…殺すことにしたのじゃ……」
「!!!!!!!!!?」
バロックの思考は崩壊寸前だった。
失い、そして生きているといわれ、そしてまた失った…
「う、う、う、おおお…」
両手で頭を抱え悶絶するバロック。
「バロックよ、聞くのだ、最後まで!
 ワシらはあやまちを置かした、
 大勢の命を救うためだからといって、
 生まれたての小さな命を奪っていいわけなどなかった。
 この間違った任務をワシらはパイロンに与えたのじゃが…」
バロックの鋭い視線の先でパイロンが話し始める。
「………………………………できなかった」
バロックの目はさらなる説明を求める。
「私は任務を当たり前のごとく遂行するつもりだった、
 しかし、見てしまった、ひと目、その赤子を………
 その子は炎に包まれる病院の中で泣いていた、
 その身を抱くと、あまりにも軽い、
 人に抱かれたことがわかったのか、
 熱さから逃れるためか、
 私のムネに顔を埋めた………
 私は何も考えず、その子を抱いたまま走り出していた……
 そしてある孤児院の前にその子を残した、
 一つだけ、『昨年産まれた子として育てるように』と手紙を残し」
それは万が一にも地上がその子に辿り着かなくさせるための
パイロンの咄嗟の判断だった。
「本当に生きているのか?」
バロックは再び三長老に詰め寄る。
「生きている、そして
 今………この部屋にいる…………」
「!!!!!」
バロックはその部屋にいる人間を慌てたように見回す。
弟なんだ!男!俺よりも5歳位年下だ!バロックの脳は必死で弟を探そうとする。
そして一つのキーワードに辿り着いた。
……………アクセレイション!……………
バロックの視界にはロココの姿がある。
「……………そうじゃ、バロック、お前の弟はロココじゃ」
驚きはロココも同じだった。
「俺に………兄弟が………」
ハンゾウがウコンをチラリと見ると、
ウコンは優しげな笑みを浮かべてロココを見ていた。
バロックはフラフラと足をまるで引きずるように、
ゆっくりと、ただまっすぐにロココのもとに歩いていく。
今だ戸惑いを隠せずにいるロココの前に立つと、
その両肩を震える手で、しかし強くつかみ。
「………よくぞ………よくぞ生きて………」
そこまで言葉にしたところで、バロックは崩れるように膝をつくと、
ひと目をおしまずに涙を流した。
それは、恋人のエイプリルも、幼なじみのロミオを初めて見る、
バロックの涙だった。
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テーマ : 創作・オリジナル ジャンル : アニメ・コミック

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感想デース

読みました~もう激闘!激闘!でしたね。
文だけなのにアクションシーンを楽しめました。
そしてもう急展開に驚かされっぱなしで・・・
映画を見ているようで本当に夢中で読みました!
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第2章
プロローグ
第1話 ヒーロー
第2話 反乱の旗印
第3話 教官
第4話 はじまり
第5話 引き金
第6話 ロミオ
第7話 野性
第8話 突入
第9話 運命
第10話 コンビネーション
第11話 水魔
第12話 足止め
第13話 助っ人
第14話 閃光
第15話 三眼の男
第16話 極炎の宴
第17話 裏切り
第18話 覚悟
第19話 ロン
第20話 仇
第21話 真実の扉
第22話 弟

第1章
プロローグ
第1話 きっかけ
第2話 出会い
第3話 デュエル
第4話 誤算
第5話 決着
第6話 余韻
第7話 密会
第8話 油断は禁物
第9話 兄弟
第10話 涙のむこう
第11話 トリデ
第12話 チカラ
第13話 休息
第14話 決戦の時
第15話 逆転
第16話 軌道
第17話 必殺技
第18話 狂気
第19話 光
第20話 喜びの中
エピローグ

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